今回は鉄骨造について解説します。
■鉄骨造って何?
鉄骨造はビルやマンション、住宅でも良く使用される構造です。
軽量鉄骨、重量鉄骨etc. 使用される鉄骨の種類によって様残ですが、一般的に想像される鉄骨造はH型の太い鉄骨等を組み合わせて骨組みを造り、鉄の硬さと柔らかさを兼ね備えた高層の建物に適した構造体です。
住宅で使用される場合も木造より鉄骨の梁の強度が高いので大空間を作りたいという方に人気です。
海外の映画で見られるお金持ちの家、広いリビングに高い天井は鉄骨造という事が多いと思います。
鉄骨造のメリットとしては
・大空間を作れる
・耐震性に優れている
・建築コストを抑えられる(軽量鉄骨の場合)
他にも様々なメリットがありますが、鉄骨造の建物にしたい・住んでいるという方はメリットばかりではなく、鉄骨造では何に気を付けなければいけないのかを知っておくべきだと思います。
■鉄骨造で気を付けなければいけない事
さて、鉄骨造で気を付けなければいけない事とは何か。
こちらに関しても言い出したらきりがないですが、一般住宅や賃貸物件に当てはまる注意点を解説します。
「鉄骨造の外壁」
一般的に鉄骨の場合はALCと呼ばれる外壁材が使用される事が多いです。
ALCとは軽量気泡コンクリートと呼ばれる材料で、コンクリートを固める際にわざと気泡を多く入れ密度を低くすることで、コンクリートの強度+軽量というとても画期的な外壁材です。
1枚ずつのパネルのようになっており、その上に塗装を施したりタイルを貼ったりと外壁材としては優秀な材料です。
※鉄骨の外壁構造図
しかし、建てる際のメリットばかりではなく建ててからの維持が問題になってきます。
ALCの中は軽石のように無数に穴があり、水の浸透性がかなり高いです。なので表面を他の素材(塗装やタイル)で覆い躯体に水が入らないようにしています。
建物のメンテナンスをしなければどのような材質のものでも劣化しダメになってしまいますが、ALCはそれが顕著です!
※ALCが弱くなって欠けた断面
表面を保護している塗装が劣化してくると、サイディングやコンクリートよりも水の浸透性が高いので、材料自体が中からボロボロになります。
石灰のように爪で削れてしまう程柔らかくなってしまう事もあり、それが他の材料よりも短期間でなりやすいのです。
塗装の劣化によるALCの劣化、そして雨漏りや水の浸入による鉄骨のサビ。とメンテナンスをしていないことで表面だけ、見た目だけの問題では済まなくなってしまいます。
そしてもう一つ鉄骨造でALC外壁の場合に多くみられる施工方法で表面にタイルが張ってある建物をよく目にします。
タイルは焼き物なので劣化しません!
遺跡から土器が見つかったりするのと同じように、焼き物は風化せずに半永久的に残り続けます。
なので、劣化しないタイルでALCを覆えばメンテナンスは必要なし!と思っていると痛い目見ます。
※ALCに貼られていたタイルが割れて落ちた後のALCの表面
先ほどALCは1枚ずつのパネルになっていると書きました。
縦横のジョイントがあり、そこには止水と緩衝材の役割のコーキングが打たれています。
1枚ずつのパネルということは、隣り合っているパネル同士がくっついていない。建物が揺れたり動く時に別々の動きをします。
そのジョイントをまたいで貼られているタイルは確実に影響を受けます。
剥がれる、割れる、欠落する。など考えられる被害は留まるところを知りません。
更に厄介なのが、剥がれたり割れるとタイルで保護されていたALCのその表面は驚くほどボロボロです。
タイルを貼ることを前提としてあるので、塗装などの保護はなく軽石の断面がむき出し状態。水をガンガン吸って被害を広げていきます。
どの建物でもいえることですが、メンテナンスをしなければどんな構造だろうとどんな外壁材であろうと劣化しダメになります。
家は建てたら終わりではなく、ランニングコストを見越して長い付き合いをしていかなければなりません。
お医者さんにかかり、定期的に健康チェックする。自分の体だから当たり前ですが、建物も自分の建物。悪くなる前に状態のチェック。
薬を飲めば治る病気を放置した結果手術が必要。となるのは建物も一緒です。
構造や建物のことを知ることで、対処方法もわかる。建てるときにメリットばかりではなく、何を気にしなければいけないかを理解し建てる。
もっと建物に目をむけて現状がどうか知りましょう!!
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